第31回海事・観光立国フォーラム in 沖縄2023
「沖縄・美ら海の歴史と無限の可能性~海事・観光の未来に向けて~」
開催概要 | 沖縄は琉球王国の時代、中国と日本や朝鮮、東南アジア諸国との中継貿易を通じて大交易時代を実現し、アジアの主要な地域との密接な交流を深めてきた。 このような琉球・沖縄の海をめぐる歴史を振り返りつつ、沖縄がアジアの玄関口として交流の拠点として期待が大きい一方、新型コロナウイルスによるパンデミックがインバウンドなどに大きな影響を与えている現状において、海に囲まれた島々で構成される沖縄という地理的特性を生かして観光交流をどのように推進していくのか、美ら海・美ら島沖縄の自然遺産といかに共生して未来に伝えていくのか等について考察・展望する。 |
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日時 | 2023年2月10日(金) 13:30 ~ 17:15 |
開催方法 | 実開催(YouTube配信あり) |
開催場所 | ロワジールホテル那覇「天妃ホワイエ」 (〒900-0036那覇市西3丁目2-1) |
主催 | 公益財団法人 日本海事センター |
後援 | 国土交通省、観光庁 |
開会のご挨拶 | |
来賓のご挨拶 | |
ご講演 | |
ご講演 | |
シンポジウム | |
シンポジウム | |
シンポジウム |
講師:株式会社 Endemic Garden H代表取締役 仲本 いつ美 氏 |
シンポジウム | |
総括コメント | |
閉会のご挨拶 |
第31回海事・観光立国フォーラム in 沖縄2023の開催結果(概要)
1.開催概要
今回の海事・観光立国フォーラムは、国土交通省・観光庁の後援を受け、海事・観光関係者をはじめ、公共交通、金融等の一般企業、個人など多くの方にご参加いただきました。
講演会後の懇親会にも、多数の方にご参加いただき、熱心な意見交換が行われました。
2.議事概要
(1)主催者挨拶 (公財)日本海事センター会長 宿利 正史
別添のとおり、開会挨拶が行われました。
(2)来賓挨拶 沖縄県知事 玉城 デニー 氏
別添のとおり、来賓挨拶が行われました。
(3)講演①
「ポストコロナの観光行政と沖縄観光への提言」
観光庁長官 和田 浩一 氏
・訪日外国人旅行者は2019年までに約3,200万人、消費額は約4.8兆円まで飛躍的に増加。
・ただし、その後、新型コロナの感染で2020年以降旅行消費に大きな影響が出たことを踏まえ、持続可能性や自然、アクティビティなどの世界の旅行者の関心動向を踏まえ、今後は「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」に3つのキーワードに特に留意し、「持続可能な観光地域づくり戦略」「インバウンド回復戦略」「国内交流拡大戦略」の3つの戦略を総合的かつ強力に推進していきたい。
・特に、全国10か所を持続可能な観光地域モデル地区に設定し、観光地域づくりを目指していきたい。
とのコメントがありました。
また、北海道ニセコ町で入域者数の制限を行いオーバーツーリズムの防止を図られたことで環境と観光の両立が図られた事例の紹介も行われました。
そのうえで、
・観光は「成長戦略の柱」であり、「地域活性化の切り札」でもあるので、コロナで傷んだ「観光立国」を「持続可能な形で復活させたい」との発言がなされました。
(※都合により、講演動画の掲載はございません)
(4)講演②
「琉球・沖縄の歴史・海の関わりと将来への展望」
沖縄県立芸術大学名誉教授 安里 進 氏
これまでの琉球・沖縄の歴史展開と15~16世紀の大交易時代の振り返り、さらに薩摩藩からの支配を受けた中での琉球王国での琉球文化の発達といった時代の流れを踏まえ、「今後、大観光時代到来への期待が高まっている」、との発表が行われました。
そのうえで、
・周囲を海に囲まれた沖縄の自然的・歴史的な環境の特質を踏まえ、「中国・朝鮮・日本に囲まれた北限のサンゴ礁地帯」「経済資源としてのサンゴ礁」という特質が大観光時代に重要になる要素になる一方、「海岸の埋め立てによるサンゴ礁の破壊」「戦争と犯罪」といったことが阻害要因になりうることを踏まえ、今後ぜひ挑戦して大観光時代の到来を期待したい。
との発言がなされました。
(5)女性リーダーたちが沖縄観光について語り合うシンポジウム
「沖縄観光における女性活躍とニューノーマル時代における沖縄観光について語り合うシンポジウム」
モデレーター:東洋大学国際観光学部国際観光学科教授 森下 晶美 氏
講師:株式会社リクルートライフスタイル沖縄代表取締役社長 有木 真理 氏
講師:株式会社EndemicGardenH代表取締役 仲本 いつ美 氏
講師:株式会社前田産業(前田産業ホテルズ)代表取締役社長 前田 裕子 氏
ⅰ 沖縄観光の現状と課題
「観光人材が質・量ともに不足している」(3氏共通)という課題のほか、「交通渋滞」、「キャッシュレス化の遅れ」(以上、前田氏)、「テクノロジー活用の必要性」(有木氏)などについて指摘がなされ、沖縄の産官学の関係者が連携して取り組んでいく必要性が指摘されました。
ⅱ 課題解決に向けた取組
今後の取組として、「人材教育、資格制度を設けて能力の可視化」「外国人の技術・人文知識・国際業務(技能労働者入国ビザ)の要件の緩和」二次交通・三次交通対策として、「地域にハブをつくって車なし観光の推進」「高速船など海上輸送をつかった交通の充実強化」(以上、前田氏)「リクルート版観光DXの推進」「中小個人事業主のインフラの充実」(以上、有木氏)「小さい会社として、興味関心や自己実現が体感できる仲間との協力拡大が働く魅力につながる」(仲本氏)などのコメントが発表され、内閣府沖縄総合事務局星運輸部長からこのような講師のコメントに関連して沖縄での現在の取組状況と今後の取組みについての報告もなされました。
ⅲとりまとめ
モデレーターの森下教授から、
・今回のシンポジウムでは、大きく「人材の質・量両面での不足」「二次交通・三次交通への対応」について講師3名からコメントが行われた。
・人材不足に関しては、「資格を含めて人からリスペクトされる取組」「ダブルワーク」「外国人材の導入」「デジタルで補う取組」などが挙げられたが、やはり「人と人のつながり」ということが重要ではないかと感じた。「ホスピタリティ産業に対して正当な対価が払われていない」ということが観光産業の生産性向上につながっていないのではないか。その点で「利用者側の意識改革」というものも必要ではないかと感じた。富裕層の外国人は、サービスへの正当な対価を支払うという姿勢があり、これが日本でもサービスへの対価を支払うマインドに変わっていくことを期待したい。
・また、二次交通・三次交通では、「高速船の利用」という提言もなされたが、これも貴重な提言と感じた。沖縄は自然・文化などの観光資源が揃っており、特に海の資源は豊富である。その点で思った以上にポテンシャルは高いと感じる。沖縄の観光戦略は住民の幸福度も苦慮しているなど、緻密であり、非常によくできている。これを手本にしていくべきと関係者に伝えているが、沖縄にはぜひ全国の観光をけん引していくような取組みを期待したい。
との発言がなされました。
(6)総括コメント
「沖縄・美ら海の観光とこれから」
一般財団法人沖縄コンベンションビューロー会長 下地 芳郎 氏
・沖縄は観光がリーディング産業だが、観光の危機は今も続いている。政府にはチャンスとリスクの両面をとらえてもらい、従来の観光政策に加えて、産業政策にも取組んでほしい。現在の観光政策の延長だけでは人材不足など観光が抱える課題の解消はむずかしく、できれば観光省として、観光産業が真のリーディング産業となるように取り組みをお願いしたい。
・沖縄の価値は東西1,000km、南北400kmの 有人島47を含む広大な海域であり、海でつながっているという発想が大事である。
・沖縄は地域別GDPにおける観光の比率が19%と他地域と比べても突出して高い。
これから「世界から選ばれる持続可能な観光地」として、世界とつながり、時代を切り拓く「美ら海沖縄」を目指していきたい。
との発言がなされました。
(7)会場からの質疑応答
沖縄は東京からの流入客が半分を占める状況を踏まえた施策展開が必要であること、夜型の観光コンテンツも充実が必要であること、沖縄は公共交通の乗り方が不便である中で二次交通施策として公共交通の利用促進策を充実してほしい、といった質問・要望等が行われました。
(8)閉会挨拶 (公財)日本海事センター理事長 平垣内 久隆
別添のとおり、開会挨拶が行われました。
(注)
本開催結果(概要)は主催者側の責任で速報版としてまとめたものであり、発言のニュアンスや語尾等を正確に再現できていない箇所、また、発言が欠落している箇所等がありますので、発言の詳細を確認したい場合は動画を視聴してご確認をお願いします。
なお、一部動画の掲載がないことにつきましては、何卒ご了承のほどお願いいたします。